AWS Certified Solutions Architect – Professional 合格体験記
このたび、AWS Certified Solutions Architect - Professional
を取得しました。
AWS Certifiedは全部で12個ありますが、その中でも最難関とされる資格です。
…と言うと格好が良いのですが、実のところよく分からないまま手を出して、大変な思いをして必死のパッチで合格しました。
ポイントをまとめると、
- 十分な準備期間(3ヶ月以上)推奨。
- 出題の日本語が分かりづらいので、読解力が求められる。英語でも解けるようにしておくことを推奨。
- ある程度パターンがあるので、大量のサンプル問題を解いて慣れる。
という感じです。
以下長文になるので、今後受験を検討されている方の参考として見て頂ければと思います。
50% offに釣られて
きっかけは、3月にAWSから届いた一通のメールでした。
ご自身の AWS クラウドのスキルと専門知識をアピールしましょう!
AWS 認定を取得すれば、お客様、会社、同僚からの信頼を得ることができます。
認定取得者を対象とした 2022 年の調査 1 では、以下のことがわかっています。
・AWS トレーニングと認定によって、87% の回答者が自信がついたと回答。79% は社内での影響力を高めることができたと回答しています。
・さらに 90% の回答者が、組織内の特別なクラウドプロジェクトのメンバーに選ばれた理由として、AWS トレーニングと認定を挙げています。AWS 認定取得: Professional チャレンジに参加して周りと差をつけ、常に進化し続ける技術環境に合わせたスキルを身に付けましょう。
登録すると、50%割引のバウチャーがもらえるとのこと。通常3万円もする試験が半額になるのは嬉しいお知らせ。お得感に釣られて早速エントリーしました。
そして、4月半ば。メールでバウチャーが届きました。
さあ、AWS Professional 認定を目指しましょう
AWS 認定取得: Professional チャレンジにご参加いただきありがとうございます。AWS 認定を取得し、あなたのスキルを証明し、実力にふさわしい評価を手にしましょう。
2023 年 5 月 31 日までに試験を予約し受験すると、 50% の割引が受けられます。
AWS Certified Solutions Architect – Professional または AWS Certified DevOps Engineer – Professional の試験に登録する際に、コード ○○○○○○○○ を入力してください。
試験のバウチャーコードの有効期限は 2023 年 5 月 31 日です。今すぐ受験予約しましょう。
バウチャーの有効期限が思ったより短かく、5月31日。準備期間は約1ヶ月半しかありません。
「2年以上はAWS触っているし何とかなるでしょう」くらいの軽い気持ちで試験の予約を入れました。この時点では、まだ心の余裕もあり、楽観的でした。
AWS Certifiedとは?
AWS Certified(AWS認定)は、AWS公式の認定試験です。詳しくはこちら。
全部で12個あり、基礎編のFOUNDATIONAL、経験者向けのASSOCIATE、2年以上の経験を持つ高度なスキルを持つ人が対象のPROFESSIONAL、個別の専門分野を掘り下げるSPECIALITYの4つのカテゴリに分類されます。
既にFOUNDATIONALのCloud Practitionerを取得済みです。今回受験したのは、PROFESSIONALに分類される資格の一つです。概要を以下に示します。
試験の概要
試験名 | AWS Certified Solutions Architect – Professional 試験 (SAP-C02) |
対象者 | AWS でのクラウドアーキテクチャの設計とデプロイにおいて 2 年以上の実践的な経験を持つ個人 |
試験方法 | Pearson VUEテストセンターまたはオンラインでの監督付き試験 |
問題数・時間 | 75問 / 180分 |
問題形式 | 選択肢から正解を選ぶ選択式。4つの選択肢から1つを選ぶものと、5〜6個の選択肢から2つ又は3つを選ぶものがあります。 |
合格基準 | 1,000点満点中750点以上(正解率75%以上) |
甘かった想定
講座や参考書、模試などで対策をしていくことになります。(後ほど役に立ったものを紹介します)
さて、唐突ですが、この試験で一番求められる能力は何でしょうか?
AWSサービスに関する知識?ネットワーキングやソフトウェア?AWSのユースケースやベストプラクティスの理解?
もちろん、これらも大切です。しかし、もっと重要な能力があります。
それは「文章の読解力」です。
公開されている例題から、一つ引用してみます。
ある会社には 2 つの AWS アカウントがあります。1 つのアカウントは本番環境のワークロード用、 もう 1 つのアカウントは開発ワークロード用です。開発チームと運用チームが、これらのワークロードを 作成して管理しています。同社は、次の要件を満たすセキュリティ戦略を必要としています。
• 開発チームのメンバーは、開発アプリケーションインフラストラクチャを作成および削除する必要がある。
• 運用チームのメンバーは、開発および本番環境のアプリケーションインフラストラクチャを作成および 削除する必要がある。
• 開発チームのメンバーは本番インフラストラクチャにアクセスできてはならない。
• すべてのユーザーが 1 セットの AWS 認証情報を持っている必要がある。これらの要件を満たす戦略はどれですか。
A) 本番稼働用アカウントで以下を実行します。
• アプリケーションインフラストラクチャを作成および削除できる運用 IAM グループを作成する。
• 運用チームのメンバーごとに IAM ユーザーを作成する。これらのユーザーを運用グループに割り当てる。
開発アカウントで以下を実行します。
• アプリケーションインフラストラクチャを作成および削除できる開発 IAM グループを作成する。
• 運用チームのメンバーと開発チームのメンバーごとに IAM ユーザーを作成する。これらのユーザーを開発グループに割り当てる。B) 本番稼働用アカウントで以下を実行します。
• アプリケーションインフラストラクチャを作成および削除できる 運用 IAM グループを作成する。
開発アカウントで以下を実行します。
• アプリケーションインフラストラクチャを作成および削除できる開発 IAM グループを作成する。
• 開発チームのメンバーごとに IAM ユーザーを作成する。これらのユーザーを開発グループに割り当てる。
・運用チームのメンバーごとに IAM ユーザーを作成する。これらのユーザーを開発グループと本番稼働用アカウントの運用グループに割り当てる。C) 開発アカウントで以下を実行します。
• 本番稼働用アカウントでアプリケーションインフラストラクチャを作成および削除できる共有 IAM ロールを作成する。
• アプリケーションインフラストラクチャを作成および削除できる開発 IAM グループを作成する。
• 共有ロールを引き受けることができる運用 IAM グループを作成する。
• 開発チームのメンバーごとに IAM ユーザーを作成する。これらのユーザーを開発グループに割り当てる。
• 運用チームのメンバーごとに IAM ユーザーを作成する。これらのユーザーを開発グループと運用グループに割り当てる。D) 本番稼働用アカウントで以下を実行します。
AWS Certified Solutions Architect – Professional (SAP-C02) 試験問題サンプル
• アプリケーションインフラストラクチャを作成および削除できる共有 IAM ロールを作成する。
• 開発用アカウントを共有ロールの信頼ポリシーに追加する。
開発アカウントで以下を実行します。
• アプリケーションインフラストラクチャを作成および削除できる開発 IAM グループを作成する。
• 本番稼働用アカウントで共有ロールを引き受けることができる運用 IAM グループを作成する。
• 開発チームのメンバーごとに IAM ユーザーを作成する。これらのユーザーを開発グループに割り当てる。
• 運用チームのメンバーごとに IAM ユーザーを作成する。これらのユーザーを開発グループと運用グループに割り当てる。
いかがでしょうか?読むだけでも大変だと思います。
これで1問です。
本番は、こんなのが75問あります。試験の時間は3時間ですから1問あたり2分強のペースで解き続ける必要があります。
条件が複雑なうえに、似たような選択肢が並んで、その違いを読み取るのも大変。しかも、日本語が微妙で分かりづらい。AWS用語も多く、なかなか頭に入ってきません。
とりあえず、公式のサンプル問題を解いてみました。
事前の想定では、素の状態で60%くらい解ける予定でした。しかし、やってみたら正解率はなんと40%。時間もギリギリ。
かなり集中しないと頭に入ってこないので、10問やっただけでもヘトヘトに疲れて、休憩を入れないと持ちません。
この状態からわずか一ヶ月半で合格ラインの75%に乗せないといけません。あまりのハードルの高さに震えました。
具体的な取り組み
泣き言を言っても仕方ないので、とにかく足掻いてみます。時間も限られていますので、対策を以下の3つに絞り込みました。
AWS公式の学習コンテンツ
まずは公式のコース Exam Readiness: AWS Certified Solutions Architect – Professional
を受講しました。講義ビデオ+例題の形式で、頻出分野を分かりやすく解説してくれます。無料ですので、ぜひ押えておきたいところです。1周4時間程度でした。
解説本
リックテレコム社から出版されている『AWS認定ソリューションアーキテクト-プロフェッショナル ~試験特性から導き出した演習問題と詳細解説
』を購入しました。合格した人のblogでよくおすすめされている本です。試験範囲の解説+例題解説のあと、最後に本番と同じ75問の模試がついています。解説が丁寧で分かりやすく、初学者に最適です。
常に付箋と一緒にカバンに入れて持ち歩き、隙間時間に読むというスタイルで取り組みました。例題を2周したあと、それでも覚えきれなかった内容をノートに転記。
4月中には一読したかったのですが、思ったより試験範囲が広く、ボリュームもあり、終わったのは、ゴールデンウィークを挟んで5月も中旬。この段階でかなり焦りが出てきました。
模試は最後の方まで取っておき、直前の力だめしに使いました。
udemyの練習問題
上記では問題数が足りないので、オンラインの問題集に取り組みました。色々探した中で、ちょうどキャンペーンで安くなっていたudemyを利用し、割引で各1,200円でした。
Practice Exam AWS Certified Solutions Architect Professional | 30問のミニテストが1回と75問のフルテストが2回の合計180問です。 |
NEW 2023 AWS Certified Solutions Architect Professional Practice Test Questions [SAP-C02] Exam Simulator + Explanations | 30問×6回の、合計180問です。各回1時間が目標時間です。2023年版となっており、最新の出題内容が盛り込まれています。 |
udemyは、スマートフォンで実施可能です。試験の途中で中断出来るので、電車の移動時間や、ちょっとした待ち時間に1〜2問解くといった感じで、何とか時間を作りながら進めました。
ちなみに全て英語です。後で気付いたのですが、日本語版もあるようです。とはいえ、英語版に慣れておくと、試験本番で少しメリットもあるので、おすすめです。
解くだけなら、30問で約1時間、75問で3時間程度。解いた後で、間違えたところを見直すのですが、解説が不親切(投げ槍?)なことが多く、WebでAWSのドキュメントや各種記事を見て補う必要がありました。解くよりも見直しするのにかなり時間を取られます。
正解率は1周目でだいたい40〜50%。上記の解説本で力を付けたつもりでしたが、見事に自信が打ち砕かれました。
1周目が終わった時点で試験日まで残り4日。寝る間も惜しんで必死で解き直し、なんとか2週目終わったのが試験前日の朝。正解率は70〜80%で、微妙な感じでしたが、もう時間がありません。最後に、間違えたところだけ見直して、本番に臨みました。
試験当日
受付には15分前に到着。誓約書へのサインと写真撮影のあと、ロッカーの鍵を渡され、荷物や腕時計、携帯電話などを片付けます。
試験の注意事項の説明のあと、会場に入室。持ち物はロッカーの鍵と身分証明書のみ。会場は、多数のPCが並んでおり、受験者がカチカチとマウスをクリックする音だけが響きわたります。
メモ用にホワイトボード1枚とマーカーを渡されます。今回の試験は、問題数が多く、ゆっくり条件整理する時間の猶予もないので、基本的に使いません。
試験をスタートさせたあとは、ひたすら解くだけです。練習問題をたくさん解いた甲斐あって、ハイペース。2時間強で解き終わり、残りを見直しにあてることが出来ました。
以下、本番で意識した点です。
- 気になる問題にマークをつけて、一通り終わった後でマーク付きの問題だけ解き直す
- 日本語が分かりづらい場合は、英語版の設問を見ることが可能(日本語版の原文は英語なので英語で読むと分かりやすいことがある)
- 2つもしくは3つ選択するパターンで、選択した数が不足して×になることがよくあるので、全体的に指定された数選択出来たかチェックした方が良い
最後にアンケートに回答して終了。ホワイトボードとマーカーを受付に返却して退出しました。
短期間で合格するために
私なりに考えた対策のコツです。
1. 練習問題を大量に解いてパターンを覚える
練習問題をたくさんやっていくと、似たようなパターンの問題が出てくることに気付きます。本番でも高い確率でそうしたパターンの問題が出題されるので、とにかく慣れておくことが重要です。その意味で、今回udemyの練習問題を大量に解いたのは役に立ちました。全く同じ問題も幾つか出ました。
2. 紙を使わずに解く練習をする
複雑な条件を整理するなら、紙に図を書いて整理するのが常道です。しかし、この試験に関しては図を書かず、頭の中でイメージを作って解くべきです。理由は2つあります。
- 本番の試験では筆記用具を持ち込めません。一応A4サイズのホワイトボードとマーカーを渡されます。しかし、マーカーだと線が太くなるため、1問か2問でボードが埋まります。あてにしない方が良いでしょう。
- そもそも時間が不足気味なので、図を書くことに時間を取られると、最後まで辿り着かない可能性があります。頭の中で条件を整理するクセをつけておくのがベターです。
3. 選択肢から正解を導く
問題文を読む前に、軽く選択肢に目を通すと効率的です。
- 問題文がやたら長文で、顧客企業の課題や担当者のおかれた状況が詳細に記載されているのに、選択肢はそれとあまり関係なく、AWSサービス知識だけで解ける場合があります。
- ほとんど同じ文章の選択肢が並ぶ場合があります。その場合、選択肢同士を見比べて、異なる部分を把握しておき、その部分を意識して問題文を読むと解きやすいです。
この試験は、時間に余裕があるかないかで難易度がかなり変わりますので、少しでも時短できるように努めたいところです。
試験を終えて
合格の場合、フライングで先にバッジ取得のメールが届くので、当日の夕方には合格を知りました。
翌日正式な通知が来て、得点は821点とのこと。4月のひどい状態から考えれば上々の結果で、大満足です。
認定は3年間有効です。さらに合格者には以下の特典があります。
- デジタルバッジの獲得:SNS等に貼り付けられるデジタルバッジがもらえます。
- 次のチャレンジへのサポート:AWS認定受験の50% off バウチャーがもらえます。
- AWS認定コミュニティへの参加:LinkedInの非公開コミュニティに参加できます。
- Subject Matter Expert (SME) に申込む:試験問題の作成に参加できます。
大変でしたが、この年にして受験生の気持ちを味わうことが出来たのは、良い経験でした。
資格だおれにならないよう、これから更に充実したクラウドサービスの提供に活かしていこうと思います。
拙文最後までお付き合い頂きありがとうございました。
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