6Gが生み出すSFのような未来

前回の記事で移動通信技術の発展の歴史について、そして5Gの素晴らしさについて学んできました。それらの技術は今後も益々進歩していきます。そこで今回は現在研究開発が進められている「6G」について、どのような特徴があるのか、世界はどのように変わっていくのか、実現に向けての課題は何か等々学んでいきたいと思います。ワクワクする未来へ…Let’s go!!!

6Gって…何?

6Gとは、前回のコラムで学んだ「移動通信技術」の第6世代のことです。「Beyond 5G」とも呼ばれ、現在の5Gを更に進化させた次世代の移動通信システムです。現在研究開発中で、2030年頃の実用化を目指しています。では早速6Gにはどのような特徴があるのか見ていきたいと思います。

6Gの特徴

〜高速大容量通信〜

移動通信技術の最大の要と言っても良いくらい、今までも進化し続けている通信速度と容量は、今回の6Gでも大きく進歩する予定です。最大100Gbps 超の超高速通信に、5Gの約100倍以上の容量の実現を目指しています。このような通信環境では人間の脳の情報伝達レベルに近づくので、これまでの視覚・聴覚の伝送だけでなく、その他の五感の伝送が期待されています。

〜低遅延〜

遅延とは「要求した後にサーバーから応答がくるまでの待ち時間」であることは前回の記事で説明しましたが、6Gでは5Gの10分の1の1ms(1,000分の1秒)以下程度の超低遅延を目指しています。何らかのリクエストを行ってから、実際に反応するまでのスピードが更に短くなることで、ロボットの遠隔操作などの用途での活躍が期待できます。

〜多接続〜

こちらも5Gで非常に多くの同時接続に耐えられる状況に進歩していましたが、6Gでは更に5Gの10倍に当たる1平方kmあたり1,000万デバイスを目標としています。将来的にインターネットに接続されたセンサーや機器が、益々増えていくことを想定した上でのメリットとなりそうです。

〜超高信頼〜

現在産業やインフラ等の社会基盤に対しても通信技術は大きな影響力を担っており、万が一通信障害を起こせば、たちまち経済や社会全体が混乱に陥る状況となっています。5Gでは99.9999%の信頼度でしたが、6Gでは更に一桁上げて99.99999%を目標に技術開発が続けられています。

〜通信エリアの拡大〜

ここからは6Gで新たに登場する特徴となります。今まではどれほど移動通信技術が進歩しても、通信出来ないエリアというのが存在していました。しかし6Gでは「超カバレッジ拡張」と言われる、陸だけでなく、海、空、宇宙でも通信が出来るようなサービスエリアの拡大を目指しています。具体的には、陸は100%カバー、海上は200海里までのエリア、空は高度1万メートルまでに拡張し、宇宙空間における通信も見据えて、研究開発が進められています。

〜消費電力のコスト削減〜

近年、持続可能な社会の実現「SDGs」が注目を浴びています。それを踏まえて通信の世界でも低消費電力の実現が必要不可欠となってきました。6Gでは消費電力量を現在の100分の1以下に抑える技術も目標としており、充電不要な超低消費電力デバイスの開発も期待されています。

6Gで何が出来るようになる?

〜3D映像でのコミュニケーション〜

ビデオ通話やWeb会議が浸透してきていますが、6Gの高速大容量通信技術が導入されると、3Dレベルでの映像の送受信も可能になると期待されております。そうなれば2Dでは伝わりづらかった表情や仕草の細部まで3Dで投影することが出来て、遠方とのコミュニケーションがよりスムーズになることでしょう。

〜遠隔からのロボット手術〜

高速通信・低遅延の精度が上がることで、ロボット手術を行える範囲が格段に広がりそうです。医師と患者が100Km以上離れた場所に居ても、同一の手術室にいるようにオペが可能となり、高度な技術を持つ専門医の手術を地方拠点でも安心して受けられるようになる未来が期待出来ます。心臓外科などの手術は難易度が高く、非常に繊細な技術が求められますが、その分野までロボット手術が到達する日は遠くないでしょう。自分はロボットに手術されていて、執刀医はアメリカに居るなんて未来がくるかもしれませんね。

〜スマートフォンのワイヤレス充電〜

スマートフォンの充電、面倒ですよね。ワイヤレス充電はありますが、その場所に置かないと充電することは出来ません。SDGsが注目される中で、移動通信技術でも低消費電力が掲げられています。スマートフォン含む機器も電力をなるべく使わない、あるいは遠くから充電出来る技術というものが研究されています。近い未来、スマートフォンも充電不要になるかもしれません。

実用化に向けての課題と取り組み

〜アンテナの設置数〜

6Gでは4G、5Gに比べてより高速大容量での通信を行うために、更に高い周波数帯を使用する予定です。ただし高周波数帯になればなるほど、電波の届く範囲は狭くなります。そのため今まで以上にアンテナの設置数を増やさなければならず、どのような間隔でどのような場所にアンテナを設置していくかという問題が課題として挙がっています。

〜耐熱性の高い電子部品の開発〜

周波数が高くなることで消費電力が高くなり、機器が発熱し易くなることも問題視されています。耐熱性を備えた電子部品の開発・研究が進められています。

〜6Gの技術が必要となるユースケースの登場〜

新しい技術が浸透するためには、それを使用しなければならないユースケースというのが必要不可欠になってきます。5Gでも現在のスマートフォンは便利に使用することが出来ています。今後は6Gでなければ使用出来ない新しいコンテンツの登場や、何らかのビジネスでの使用例が登場することが、6G普及の後押しとなるでしょう。

まとめ

今まで移動通信技術はおよそ10年毎に、目まぐるしい進歩を遂げてきました。6Gで目標とされている様々な技術も、今後の我々の生活に大きな影響を与えてくれることが期待出来ます。いよいよSFで描かれていたような未来も近づいてきたなと、個人的にはワクワクしています。実際は2030年頃の実用化を目指している状況とのことですが、引き続き最新情報をチェックしつつ、6Gの技術を体験出来る日を楽しみに待ちたいと思います。

(中村 美菜)

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