各企業の方々が一度は必ず悩んだことがあるであろう問題…ITツールを選ぶのって難しくない!?
勤怠管理システム、会計システム、顧客管理システムetc…。どれもこれも種類が多すぎて、結局どれが良いのかわからない…。わからないので後回しになって、まだ導入出来ていないという方もいらっしゃるでしょう。
実際にITに関わる仕事をしていると、導入したけれど使いこなせていない例や、過大投資となってしまっている例も数多く見かけます。悲しい。
私は!ITツールで!便利になってほしいだけなのに!ということで、今これを読んでいる人が将来失敗したと思わないことを願って、一生懸命書いていきたいと思います。
ITツールの選定はなぜ難しい?
商品の機能の幅が広すぎる
一つはこれに尽きるでしょう。そのツールで何がどれくらい出来るのか、その幅が非常に広い。どれか一つのツールを検索して、試しに機能一覧のところを見てもらえるとよくわかると思います。長々と続く機能一覧表、よくわからない各項目、おまけにプランによって○が付いていたり付いていなかったりするけどこれって必要?と頭の中が疑問符だらけになりますよね。
機能が決まっていて、各社共通の機能一覧であればまだ比較がしやすいのですが、それさえも微妙に異なっていたりします。ツールAとツールBで何が違うの?となると、頭を抱えながら1時間ほどPCの前で唸るなんてことになるかもしれません。この機能がAにはあるのにBにはなくて、この機能はBにはあるのにAにはない、なんてこともしばしば起こります。(なぞなぞみたいです)
例えば弊社も使っているKING OF TIMEであれば、機能一覧で下記のような感じです。更に各項目毎の詳細機能があります。(KING OF TIME 公式HPより)

価格の幅が広すぎる
クラウドが広まったこともあり、1人あたり月額数百円で使えるサービスから、数百万円・数千万円の一括投資となるサービスまで、本当に様々な価格帯の商品が乱立している状況になっています。
月額制のツールだと毎月いくらかかるんだろう、一括投資のツールで何年も使ったほうが良いのだろうか。安い方がいいけど大丈夫かな?高すぎるのはいらないよなぁ。と考えた結果、とりあえず真ん中くらいの価格のものにしておくか、なんてことを考えたりもするかもしれません。
そうです。
商品機能も価格もどちらも幅が広すぎて、簡単には比較が出来ないのです。
(電化製品なんかは比較しやすいですよね。冷蔵庫とか洗濯機とかオーブンレンジとか、機能が決まっていて、出来ることが増えると高くなる、最低限のスペックだと安く買える、非常にシンプルです。)

高くて新しいものが必ず自社に合う訳ではないジレンマ
これがまた難しい。
じゃあ高くて新しいものを導入したら、とりあえず便利になるんでしょう!?と。
いやいや、ちょっと待って下さい。その新しくて優れた機能、あなたは全て使いこなせるでしょうか…?あるいは弊社の従業員の方々はそれを使いこなせるでしょうか…?決して馬鹿にしている訳ではありません。高くて新しいツールというのは、今までのツールでは満足出来ない部分を解決するべく作られた商品であることも多いです。使いやすくなっている可能性もありますが、出来ることが増えてより操作が複雑になっているケースもあります。あなたのiPhoneにどれくらい使わないアプリが眠っているかを考えていただけると、わかりやすいかもしれません。(それでも最新機種はなんだかかっこいいですね)

ちなみに上記の場合はまだマシです。もっと悲しいケースがあります。それは最新の高価なツールを導入したにも関わらず、自社の業務フローやITスキルと合わなかった為に、従業員から「使えない!二度手間になる!前より時間がかかるようになった!」とクレームが殺到することです。他のシステムと連携出来ずに結局手作業が発生したり、使い方が複雑でマニュアルでは理解できず毎回サポートデスクに問い合わせないといけなかったり。せっかく便利になると思ったのに、まさか不便になるなんてと、払ったお金とかけた時間を悔やんでも、もう戻ってはきません。
ITツールの導入を成功させる為に
ではITツールの導入を成功させる為には、どのようにすれば良いのでしょうか。
自社の業務フローを整理する

これが意外と盲点です。どのような業務でも企業によって、全く同じやり方、承認ルートであることは滅多にありません。それぞれ独自のルールや方法が存在しています。そこに既存のITツールを導入する訳ですから、何かしらの差異や変更点は生じる訳です。だとすれば今の業務フローとはあまり変えずに導入できるものが良いですよね。変更点があるとしても、負担の少ないものの方が現場の方は受け入れやすいです。自社の業務フローは、わかっているようで細かい部分が曖昧なことが多いので、誰がどのタイミングで何をしているのか、文章や図に起こしても良いと思います。無駄な業務に気づくきっかけになり、効率化が図れるチャンスにもなります。
必要な機能を洗い出す
業務フローが整理出来たら、その中で必要な機能をピックアップしていきましょう。最低限この機能は必ず必要だとか、この機能はあったら良いなとか、優先順位を考えておくと便利です。業務フローが把握出来ていれば、この作業自体は比較的簡単に行うことが出来ると思います。
商品を比較検討する

さてやっと商品を比較検討しましょう。まずはシンプルなもの、スタンダードなもの、フルスペックなものの3つくらいを比較します。上記の必要な機能と、今回の予算を考慮すれば、どれくらいのレベルのものを入れれば良いのか、およそのイメージが湧くと思います。例えばスタンダードなものが良さそうだなと思ったら、スタンダードに分類されそうな商品を幾つか集めて情報を収集していきます。ポイントは、自社の業務フローに合っているか、予算の範囲内か、必要最低限の機能が全て備わっているかです。加えて凄く重要なポイントがあります。それが「操作しやすいかどうか」です。マニュアルを見なくてもわかる、画面がシンプルでわかりやすい、サクサク動くのでストレスが少ないなど、必ず一度触ってみることをお勧めします。これらの要素を踏まえて、慎重に商品を比較検討し、一つに絞っていきましょう。
重要なのは「自社に合ったものを選ぶ」こと
ここまで長々と書いてきましたが、ITツールの導入で大切なことはただ一つだと思っています。それは「自社に合ったものを選ぶ」こと。ITツールの導入の失敗は全てこれが上手くいかなかった結果でしかありません。新しいツールを導入する際には商品調査に力を入れてしまいがちですが、自社に合ったものを選ぶ為には自社のことをよく知っておく必要があります。ここが初めの第一歩です。ここまで読んでいただいた方は、まずそのことだけを頭の中にインプットしておいて下さい。
困った時に頼りになる先
とはいえ上記のように、「自社の業務フローを整理して、必要な機能を洗い出して、商品を比較検討する」というのは、かなりハードルが高く感じる企業様も多いと思います。そのような時はどうすれば良いのでしょうか?
こういった悩みをお持ちの方向けに、一般的には以下のような専門の相談先があります。
相談先 | 特徴 |
---|---|
ITコンサルティング会社 | 業務分析からツール提案、導入後の活用支援まで一貫対応。 |
システムインテグレーター(SIer) | 自社に合ったパッケージやシステム構築・運用支援を行うが、業務コンサルティングは別途必要な場合もあり。 |
中小企業診断士 | IT分野に強い診断士もおり、IT導入補助金等の公的支援との連携が得意。 |
商工会議所のIT支援窓口 | 無料で初期相談が可能。地元企業向けの支援が多い。 |
地域の中小企業向けDX支援団体 (よろず支援拠点等) | 初期相談に向いており、無料で支援が受けられる場合もあり。支援内容や専門性には地域によって差があるため、事前確認がおすすめ。 |
もちろん弊社でもこのようなお悩みはどんどん受け付けておりますので、ご興味がある方はぜひお気軽にお問い合わせいただければと思います。
最後に
弊社代表の山口と今回の記事のような話をしていた時のことです。
山口「一般の人がITツール選ぶのって、自分がデパートにコスメ買いに行くようなものやと思うんですよ。」
中村「…?」
山口「これいいですよ、これいいですよって、こんな効果がありますよって言われて。勿論全部良い商品なんですけど、違いもわからないし、どの成分の、何が良いのかさっぱりわからなくて。結局自分の肌に合うかわからないまま、一番高いやつ買う、みたいな。」
中村「…!なるほど!(爆笑)」
という雑談から今回のお話を書きました(笑)。
自社のことを知るのも、その商品のことを知るのも、本当に難しいです。
(自分の肌とその商品の成分が合致するか考えるくらい難しい)
だから我々のような専門家が存在していると思っています。
それを任せていただく時の私たちのポリシーは、上に書いた通りです。
「あなたの会社に合ったITツールを」。
全ての人がITツールの導入で失敗することのないように、心から願いつつ、この記事が少しでもそのお役に立てば幸いです。
(中村美菜)