あっという間に8月も終わり、季節の移り変わりを感じる時期になりました。新しい月の始まりは、気持ちを切り替えて学びに取り組む良いタイミングです。
本記事では、技術戦略、マーケティングについての用語をわかりやすく整理し、身近な事例を交えて解説していきます。
それでは本日もよろしくお願いいたします。
技術戦略
イノベーション
イノベーションとは、既存の枠組みを超えて新しい製品・サービス・仕組みを生み出すことです。
イノベーションの一例としてスマートフォンがあげられます。
従来の携帯電話は電話とメールが中心でしたが、スマートフォンはそこに音楽プレーヤー・パソコン並みのブラウザ機能などを加えました。さらにアプリを自由に追加できる仕組みが加わったことで、地図で道案内をしたり、買い物や支払いをしたり、SNSで友人とつながったりと、生活のあらゆる場面で欠かせない存在になりました。
つまりスマートフォンは、単に「携帯電話が便利になった」わけではなく、人々の行動や生活スタイルそのものを変えた革新だと言えます。
イノベーションのジレンマ
イノベーションのジレンマとは、既存市場で成功した企業が、新しい技術革新への対応に出遅れ、競争力を失う現象を指します。
イノベーションのジレンマの一例として、コダックという会社の事例があります。
コダックは、20世紀後半、世界のフィルム市場でシェア70%以上を持ち、写真といえばコダックと言われるほどの圧倒的な地位を築いていました。
しかし、デジタルカメラ技術が登場した際、コダック自身も研究開発は行っていたにもかかわらず、既存のフィルム事業が収益の柱であったために本格的なシフトをためらいました。
既存のフィルム事業とのカニバリゼーション(Cannibalization=共食い)を恐れ、デジタルカメラに注力できず、キャノンやソニーなどに市場を奪われてしまいました。
現在の利益構造を守ろうとするがゆえに、将来の成長機会を逃し競争力を失う一例と言えるでしょう。
MOT
MOT(Management of Technology)とは直訳をすると技術管理と訳することができますが、単なる技術部門の管理ではなく技術を経営資源の一つとしてとらえ、事業戦略や経営戦略と結びつける考え方です
たとえば、自動車メーカーのトヨタの事例が挙げられます。
トヨタはプリウスをはじめとするハイブリッド車を販売するにあたり、市場ニーズをベースに開発技術を戦略に結びつけた代表例です。燃費向上と環境配慮を強く訴求したことで、技術を価値に変え、グローバルでの成功を実現しました。
オープンイノベーション
オープンイノベーション(Open Innovation=開かれた革新)とは、自社だけでなく外部の企業・大学・研究機関と連携し、技術やアイデアを取り込むことで新しい価値を創造する仕組みです。
たとえば一例として、製薬会社と大学の連携があげられます。
製薬会社は新薬の研究を進めたいけれど、自社だけではアイデアや技術に限界があります。そこで大学の研究室と組むことで、最先端の知見や新しい発見を取り入れることができます。大学にとっても、企業と一緒に開発を進めることで研究成果が実際の薬として世に出やすくなります。
このように、お互いの強みを持ち寄ることでスピードが速まり、成功の可能性も高まるのがオープンイノベーションの大きなメリットです。
デザイン思考
デザイン思考とは、利用者の体験や潜在的なニーズを出発点として、試作や検証を繰り返しながら解決策を生み出す方法です。
一例として、スマートスピーカーの開発において「音声で操作したい」という潜在ニーズを掘り起こし、ユーザー体験を重視して改良を続けるアプローチが挙げられます。

リーンスタートアップ
リーンスタートアップ(Lean Startup)とは、無駄のない効率的な起業と直訳でき、小さく試し、学び、改善を繰り返す、ことで効率的に事業を立ち上げる方法を意味します。
例えばアプリ開発では、いきなり多機能な完成版を作るのではなく、まずこれだけは使ってもらいたいという機能に絞って公開します。
そして、利用者が便利と感じて継続的に使うのか、あるいは、ここが不便と感じるのかを観察します。その結果をもとに改良を重ねることで、方向性が正しいのかどうかを早く判断でき、効率的な事業展開へ貢献します。
マーケティング
STP分析
STP分析とは、顧客や市場を分類し(Segmentation=市場細分化)、どの層を狙うかを決め(Targeting=標的市場の選定)、その中で自社がどう位置づけられるかを明確にする(Positioning=自社の立ち位置明確化)手法です。
このキーワードについて、スターバックスコーヒーの事例が挙げられます。
コーヒー市場の顧客には、コンビニコーヒーのように低価格を求める層や、豆や抽出方法にこだわる層もいる一方で、スターバックスコーヒーが着目したのは飲料そのものだけでなく空間や体験を重視する層でした。ここに焦点を当てることで、価格競争を避けながら強みを発揮できると判断したのです。
その上で、同社は自らの立ち位置を「第三の場所(Third Place)」として明確化しました。自宅や職場に次ぐ、落ち着いて過ごせる快適な空間というコンセプトを打ち出し、店内デザイン、BGM、接客、季節ごとの限定メニューなどを通じて体験価値を一貫して提供してきました。
結果として、やや高めの価格設定であってもコーヒーを飲む場を超えて、居心地を買う場として選ばれる理由を築いたと言えます。
4P
4P(Product=製品、Price=価格、Place=流通、Promotion=販売促進)とは、マーケティング戦略を設計するための基本要素です。
例えば、スマホメーカーが「高性能カメラ搭載(Product)」「ミドルレンジ価格(Price)」「オンライン直販(Place)」「SNSキャンペーン(Promotion)」を組み合わせマーケティング戦略を設計する例が挙げられます。

RFM
RFM分析(Recency=最終購買日、Frequency=購買頻度、Monetary=購買金額)とは、顧客を「最近購入したか」「どれくらい購入しているか」「いくら使っているか」で分類し、優良顧客を特定する方法です。
例えば、ECサイトが「最近購入し、頻繁に多額を使う顧客」に対して、特別なクーポンを配布する施策に活用され、顧客満足度の向上や売上増加へつなげます。
LTV
LTV(Life Time Value=顧客生涯価値)とは、一人の顧客が取引を始めてから終了するまでに企業にもたらす利益の総額を指します。
例えば、近年流行しているサブスク型サービスが挙げられます。
サブスク型サービスで、月1,000円のサービスを1年間使い続けると1万2,000円、3年なら合計で3万6,000円かかります。
途中で解約が減ればそのぶんLTVは伸びるので、サブスクでは、初回体験をわかりやすくしたり、使い方ガイドを充実させたりして続けやすい状態を作ることが重要となります。
価格戦略
価格戦略の代表例としては以下の3つが挙げられます。
スキミングプライシング(Skimming=すくい取る)とは、新製品を高価格で投入し、熱心な顧客層から利益を確保してから徐々に価格を下げる方法です。
例としては、最新のiPhoneが考えられます。
発売直後に10万円以上でも早く欲しい人が買い、半年〜1年後には旧モデルが値下げされ、利益を最大化させる価格戦略です。
ペネトレーションプライシング(Penetration=浸透)とは、市場に早く浸透させるため、低価格で販売を開始する方法です。
例としては、新規参入の動画配信サービスが典型です。たとえば、月額980円でスタートとし、一定数の会員獲得後に標準価格(例えば1,500円)へ引き上げる例があります。
これは、価格のハードルを下げて多くの方に利用を始めてもらい、サービスの市場占有率を増加させることを狙いとした価格戦略です。
ダイナミックプライシング(Dynamic=動的)とは、需要や在庫に応じて価格を変動させる方法です。
例としては、航空券やホテル予約が挙げられます。
海水浴シーズンや休日には、ホテルに予約が殺到し値段が高騰します。需要に応じて動的に価格を変動させる価格戦略です。
プロダクトライフサイクル
プロダクトライフサイクル(Product Life Cycle=製品ライフサイクル)とは、製品が市場に投入されてから撤退するまでの流れを示す考え方で、「導入期→成長期→成熟期→衰退期」の4段階に分かれます。

この一例として、DVD(Digital Versatile Disc=デジタル多目的ディスク)があげられます。
DVDが登場した当初は、VHSビデオテープと比較して「高画質・劣化しにくい」といった新しさで注目され、再生機の普及や映画タイトルの拡充とともに一気に知名度が上昇し成長期を迎えました。その後は家庭の標準メディアとして広く使われ、販売も安定した成熟期に入ります。
しかし動画配信サービスが広がると、買うより配信で観ればいいと考える消費者が増え、市場は縮小して衰退期へと移りました。
このように、DVDの歩みを追うだけでも、製品がどの段階にあるかによって企業の戦略や市場の様子が大きく変わることがイメージしやすくなります。
今回ご紹介した内容は、試験対策として重要であるだけでなく、日常のニュースやビジネスシーンを理解するうえでも役立ちます。
用語の意味だけでなく事例とあわせてイメージしておくことで、理解がぐっと深まります。ぜひ学習の際に参考にしてみてください。
本日もお付き合いありがとうございました。


