コバヤシクエストLv9 ストラテジ編①

皆様こんにちは。
本記事では、ITパスポート試験のストラテジ系分野の中から、経営戦略に関する重要なキーワードを解説いたします。基本の理解が得点に直結する分野ですので、用語の意味や位置づけをしっかり確認していきましょう。
本日もどうぞよろしくお願いいたします。

経営理念

経営理念とは、企業が存在する根本的な意義や使命を示す概念です。
たとえば「人と社会に寄り添うITを」という理念には、ITを単なるツールとしてではなく、人々の生活や地域社会を支える手段として活用したいという想いが込められています。

このように、企業が何のために存在するのかを明確にすることで、従業員の価値観や行動指針の統一に寄与し、意思決定や業務の判断軸となります。

ビジョン

ビジョンは、経営理念に基づき、企業が将来的にどのような姿を目指すのかを示す未来像です。
例えば「地方自治体向けIT支援を全国に展開する」というビジョンは、先ほどの経営理念に沿って、公共分野における地域格差の是正やサービス向上を長期的に実現していくという方向性を具体化したものです。

全社戦略 / 事業戦略

経営理念やビジョンを実現するためには、実際に「どのような行動を取るか」を決める必要があります。ここで登場するのが全社戦略と事業戦略です。

全社戦略は、会社全体の大きな方向性を決めるものです。
例えば、「公共領域におけるDX支援を中核事業とする」という方針を掲げれば、会社としてどの分野に力を入れていくかが明確になります。

事業戦略は、その全社戦略を具体的に実行するための部門や事業ごとの作戦です。
例えば、自治体支援を重点とする会社が「中小自治体向けにクラウド型の住民情報システムを低コストで提供する」といった具体策を立てれば、それが事業戦略にあたります。

全社戦略が、会社としてどこを目指すかを示し、事業戦略がそのためにどう動くかを定めます。

コアコンピタンス

コアコンピタンスとは、競合他社が模倣をすることが難しい自社独自のスキルや技術を意味します。これは一時的な強みではなく、長期的に企業の競争優位を支えるスキルを指します。
一例としてAmazonがあげられます。単なるネット通販の仕組み自体は他社でも構築可能です。しかし、Amazonが持つ世界規模の物流インフラと膨大な顧客データを活用した分析・レコメンド技術は、容易に真似できない独自の強みです。
このコアコンピタンスによって、Amazonは、翌日配送やパーソナライズされた商品提案といったユーザー体験を実現しました。

SWOT分析 / 3C分析

SWOT分析は、自社の内部要因(Strength:強み、Weakness:弱み)と外部要因(Opportunity:機会、Threat:脅威)を体系的に整理するフレームワークです。
新規事業の立ち上げや既存事業の改善を検討する際に用いられ、自社の立ち位置を客観的に把握して戦略方針を導くのに役立ちます。

3C分析は、Customer(市場・顧客)、Company(自社)、Competitor(競合)という3つの観点からビジネス環境を分析し、自社の戦略の方向性を導く手法です。
顧客ニーズと競合との差別化要素を整理することで、自社の強みを生かした施策を設計するのに活用されます。

PPM(Product Portfolio Management/プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)

PPM(Product Portfolio Management/プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)を直訳すると、製品群の組合せ管理となります。ポートフォリオは本来、書類ケースを意味しますが、複数の書類を一つにまとめるイメージから転じて、組合せや全体構成を表す言葉として使われています。
また、組合せの対象となるプロダクトは単なる個別商品ではなく、製品ラインや事業単位を指します。なぜなら、企業が行う投資などの経営資源の配分は、個々の商品ではなく製品ライン全体の成長性や収益性を基準に検討されるからです。
以上よりPPMは、事業としての製品ラインや事業単位の組合せを最適化する枠組みとして理解されます。
その枠組みは、市場成長率と相対的市場シェアの2軸で分類され、代表的な分類は以下の4象限です。

・問題児
市場成長率は高いが、自社の相対的市場シェアが低い事業です。将来花形に育つ可能性がある一方で、投資をしても成果が出ないリスクも大きいため、継続投資か撤退かの判断が重要になります。
・花形
市場成長率が高く、自社の相対的市場シェアも高い事業です。利益を生み出すと同時に多くの投資も必要ですが、適切に育成すれば将来の金のなる木に移行することが期待されます。
・金のなる木
市場成長率が低いが、自社の相対的市場シェアが高い事業です。安定した収益を生み出し、他事業への投資源となります。積極的な成長投資は不要で、効率的な運営が重視されます。
・負け犬
市場成長率も低く、自社の相対的市場シェアも低い事業です。大きな収益を期待するのは難しく、撤退や縮小が検討されます。

バリューチェーン

バリューチェーンとは、企業活動を価値の連鎖としてとらえ、各工程が顧客への価値創出にどう貢献しているかを分析する手法です。活動は、主活動と支援活動に分けることができます。

  • 主活動
    購買物流、製造、出荷物流、販売・マーケティング、サービスといった、製品やサービスを顧客に直接届けるまでのプロセスです。
    例えば製造業では、製造工程の効率化や販売チャネルの最適化がここに該当します。
  • 支援活動
    調達、人事・労務管理、技術開発、企業インフラ(経営管理や財務など)といった、主活動を裏から支える仕組みです。
    例えば、優秀な人材の採用・教育は、直接的に顧客へ届くわけではありませんが、長期的な競争力の源泉となります。

実際には、この主活動と支援活動のどこに自社の強みやコスト削減の余地があるかを見極めることで、差別化や効率化の戦略につなげることができます。

機能別組織/事業部制組織

機能別組織とは、営業・開発・人事・経理といった機能(仕事の種類)ごとに部門を分ける組織形態です。
例えば、ある会社で営業部、開発部、経理部と機能ごとに分かれていれば、それぞれが専門性を磨きやすく、効率的に業務を遂行できます。
一方で、部門間の縦割り意識が強まりやすく、全社的な視点で調整や判断ができる人材が育ちにくいという課題があります。



機能別組織が営業部、開発部、経理部など機能ごとに部門を分けるのに対し、事業部制組織は家電事業部、スマホ事業部といった事業単位で編成されます。
各事業部は営業や開発などの機能を内部に備えて、小さな会社のように運営されるため、市場や顧客への対応が迅速に行えます。
同じ機能を複数の事業部が持つためコストは増えやすいものの、事業部長が経営者として責任を担うことで、次世代の経営者を育成する実践の場となる点が大きな特徴です。

ここまで見てきた機能別組織と事業部制組織は対立する概念ではなく、企業の規模や戦略によって選ばれる形態が異なるものです。
小規模な会社で製品や市場が限られている段階では、営業や開発などの機能をまとめて運営する機能別組織の方が効率的です。なぜなら、限られた経営資源を集中させ専門性を発揮しやすいからです。
一方で、比較的大きな会社で、事業が多角化し製品ごとに市場環境や競合状況が大きく異なるようになると、事業部制組織の方が機動力を発揮します。事業部ごとに意思決定できる体制を整えることで、変化に対応しやすくなるからです。

つまり、小さな会社や事業が単一である段階では機能別組織が適し、比較的大きな会社で多様な市場で戦う段階では事業部制組織が適しているといえます。

ただし例外もあり、小さい会社=機能別組織で、大きい会社=事業部制組織と単純に割り切れない場合もあります。一例として、1997年のApple社の事例があります。

当時のApple社は、スティーブ・ジョブズ氏が復帰した時点で既に大企業でした。
どれくらいの規模感の会社かというと、当時の売上は約70億ドル・従業員数約8,000人規模で、売上約115億ドル・従業員約2万人のマイクロソフトと比べればやや小さいものの、比較的大きい規模感のグローバル企業でした。
そのApple社が事業部制の縦割りを解体し、ハードウェア・ソフトウェア・マーケティングといった機能別組織へ転換したのです。これは、製品を絞り込み、技術とデザインに集中する戦略に合致していたからだと言われています。
そして、その翌年1998年に初代iMac、2001年にはiPodへと連なるヒットの土台になりました。

このように機能別組織を採用するのか事業部制組織を採用するかは、企業規模だけではなく、どんな戦略をとるかに合わせて組織を選ぶことが重要です。

MBO(Management by Objectives)

MBOは、Management by Objectivesの略で、直訳すると目標による管理を意味します。上司と部下が合意のもとで目標を設定し、その達成度に基づいて評価を行うマネジメント手法です。目標を共有することで組織全体の方向性をそろえ、自律的な行動を促進する効果があります。特に、目標達成意識の向上や業務の透明性がメリットとして挙げられます。
一方で、目標設定が形骸化し、前年と大差ない目標が並ぶと本来の改善効果が薄れるリスクがあります。適切なフィードバックや定期的な課題の見直しが重要です。

KGI/KPI

KGI(Key Goal Indicator)は、主要目標指標と直訳でき、組織やプロジェクトが最終的に達成すべきゴールを測る指標です。たとえば「年間売上100億円達成」といったように、最終的な成果そのものを示します。
KPI(Key Performance Indicator)は主要業績評価指標と直訳でき、KGIを達成するまでの途中経過を確認するための指標です。たとえば「月間新規会員数5,000人」といった具体的な進捗を追うことで、最終ゴールに着実に近づいているかを把握できます。

このように、KGIは最終的に目指す成果を示し、KPIはその進捗を示します。両者を結びつけることで、進捗を確認しながら確実にゴールへ近づけます。

ジョブローテーション

ジョブローテーションとは、従業員が一定期間ごとに異なる部署や職務を経験することで、人材を計画的に育成する仕組みです。
営業・企画・人事などを順に経験することで、会社全体の流れを理解でき、ゼネラリスト的な視点を養うことができます。

ここまで、経営理念やビジョンといった抽象的な方向性から、戦略フレームワーク、組織の仕組みに至るまでを整理しました。本記事が試験学習の整理に役立てば幸いです。
本日もお付き合いありがとうございました。

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