クラウドとオンプレミス〜各々の美点と弱点〜
近年、頻繁に目にして耳にして使われるようになった「クラウド」という言葉。作業終わりに「クラウドに保存して…これでおっけい!」……ってところでクラウドって一体何!?今更聞けないけど、よくわからない。今回は、クラウドって結局どんなもの?クラウドの反対って何?使うとどんなメリットがあるの?そんな疑問点を簡単に解説していきます。
クラウドとオンプレミス
〜クラウドが出来るまで〜
従来、ほとんどの企業が自社内でソフトウェア及びハードウェアを保有・管理して、システムを運用していました。具体的にはハードウェア(機器・HDD等)を購入して設置したり、ソフトウェア(メール・表計算ソフト等)を構築あるいは購入してインストールしたり、定期的にそれを点検・改修する必要がありました。「オンプレミス」とは英語で「構内」「建物」のような意味があり、現在では上記のようなシステム運用方法を「オンプレミス」と呼んでいます。当時はこの運用方法が当たり前で、特に意識して「オンプレミス」とは呼ばれていませんでしたが、2000年代移行「クラウド」という概念が誕生して、それと比較するために浸透してきた言葉と言えます。
〜クラウドの誕生〜
クラウドコンピューティング、略して「クラウド」。このシステム運用方法が拡大してきた背景にはインターネットの普及が大きく関わっています。1990年代半ばからインターネットへの接続が容易になり、徐々にやりとりできる情報量も多くそして速く進化してきました。そんな中で「クラウド」という、インターネットを経由してオンライン上のソフトウェア・サービスを利用する形態がどんどん広まっていきます。「クラウド」ではサーバーはインターネット回線の向こう側にあり、そこにあるソフトやサービスを利用するため、保有や管理の必要がありません。「クラウド」とは英語で「雲」という意味ですが、雲の向こう側にあるような遠くて目に見えないものというイメージで、「クラウド」と呼ばれ始めたのではないかと言われています。
各々の美点・弱点
〜コスト〜
オンプレミスの場合、サーバー等の機器やソフトウェアを購入するため、基本的に初期費用が高額になります。また保守管理する人件費も必要なので、ランニングコストもかかります。一方でクラウドの場合は、機器などの購入は不要となり初期費用をかなり抑えることが出来ます。保守管理はクラウドサービスの事業者が行ってくれるので、ランニングコストはサービスの利用料のみとなります。
〜導入までの時間〜
オンプレミスの場合は、機器やソフトウェアを購入して自分で設置設定を行うため、導入までに時間がかかります。クラウドの場合、インターネットに接続出来ればすぐに利用できるので、利用するまでの時間や手間はほとんどかかりません。
〜カスタマイズの自由度〜
オンプレミスの場合は、選べる内容に制限がない為、カスタマイズの自由度は非常に高いです。殆ど無限に近いと思ってもらえれば良いと思います。クラウドの場合、自由度はかなり進歩していますが、利用するサービスの範囲内という制約はあります。
〜他システムとの連携のしやすさ〜
クラウドの場合、インターネットを経由して接続するため、他のシステムとは連携出来ない場合があります。一方でオンプレミスの場合は社内にシステムを構築するので、連携のしやすさではかなり優れています。
〜セキュリティ〜
オンプレミスの場合、自社内の対策次第で非常に高いセキュリティ水準を維持することが出来ます。ただし強固なセキュリティを設定するとなると、かなりのコストがかかることは言うまでもありません。クラウドの場合、セキュリティ対策はクラウドサービス事業者で行われているので、コストはかからず一般以上のセキュリティ水準を維持することが出来ます。ただしかなり強固なセキュリティを必要とする分野においては、少々不安視されることがあるのも事実です。
〜保守・管理〜
クラウドの場合、保守・管理は基本的にクラウドサービス提供事業者が行なってくれるため、手間や人件費はかかりません。一方でオンプレミスの場合、定期的に全て自社で対応しなければならないため、かなり手間がかかると言えます。
オンプレミス | クラウド | |
コスト | 初期費用が高い ランニングコスト高い | 初期費用なし ランニングコスト安い |
導入までの時間 | 非常にかかる | 全くかからない |
カスタマイズの自由度 | 非常に高い ほぼ無限に自由 | クラウドサービスの 範囲内で自由 |
他システムとの連携のしやすさ | 非常に連携しやすい | クラウドサービスの 範囲内で連携可能 |
セキュリティ | いくらでも強固にできる | クラウドサービス側での セキュリティ次第 |
保守管理 | 手間がかかる | 自社内では不要 |
結局どっちの方がいいの?
上記で説明してきた通り、各々メリット・デメリットを複雑に抱えています。従来は全てオンプレミスだったところが、クラウドの誕生により、どちらか選択出来る時代になりました。今までコストや時間面でシステム導入のハードルが高かった部分はクラウドが解決してくれました。一方でオンプレミスの方が良いケースも改めて明確になりつつあります。当社では各企業や各部門の状況を詳しく伺い、それぞれに一番最適な方法・形態を提案させていただいております。選択肢の多い時代だからこそ、自社に合ったシステムの運用方法を活用し、よりお得に、より便利に。この記事が自社システムについて改めて考えるきっかけになれば幸いです。
(中村 美菜)