Excel業務を脱却したい中小企業がまず検討すべきこと──「なんでもExcel」から抜け出す考え方

「結局、全部Excelでやっている」

  • 「顧客管理も売上管理も、すべてExcelで作った独自のシートで管理している」
  • 「Excelのファイルが増えすぎて、どれが最新か分からなくなることがある」
  • 「特定の人しか使えない複雑なExcelファイルがあり、その人が休むと業務が止まる」

中小企業のIT支援の現場では、こうした声を本当によくお聞きします。

Excelは非常に優れたツールです。誰でも使えて、柔軟性が高く、コストもかからない。だからこそ、気がつくと社内のあらゆる業務がExcelに集約されている、という状況が生まれやすいのです。

しかし、「なんでもExcel」の状態が続くと、業務の効率や正確性に限界が見えてくることがあります。この記事では、Excel業務の何が問題なのか、そしてどう考えて脱却を進めればよいのかをお伝えします。

Excelを扱う仕事のイメージ

Excel依存が引き起こす3つの問題

Excelそのものが悪いわけではありません。問題は、Excelが本来得意としない使い方をしてしまうことにあります。

1. データの「散在」と「不整合」

同じ情報が複数のExcelファイルに存在し、それぞれが別の人によって更新されている。こうした状態では、「どれが正しいデータなのか」が分からなくなります。ある人のファイルでは売上が100万円、別の人のファイルでは95万円──こうした不整合は、Excelを長く使い続けるほど蓄積されていきます。

2. 業務の「属人化」

Excelの便利な点は、使う人が自由にカスタマイズできることです。しかし裏を返すと、「作った本人にしか分からないファイル」が生まれやすいということでもあります。複雑な関数やマクロが組み込まれたファイルは、作成者が異動や退職をした後に誰もメンテナンスできなくなる、というリスクがあります。

3. 「手作業」による非効率とミス

Excelでの業務は、多くの場合、手入力が前提です。データの転記、集計、チェック──これらを人の手で行う以上、どうしてもミスが発生します。また、「毎月同じ作業を繰り返しているが、丸一日かかっている」という声も少なくありません。

Excel業務に追われる中小企業のイメージ

まず考えるべきは「全部やめる」ではない

Excel業務の課題が見えてくると、「Excelをやめて新しいシステムを入れよう」と考えたくなります。しかし、ここで注意が必要です。

すべてのExcel業務を一気に置き換える必要はありません。

Excelが十分に機能している業務もあるはずです。個人のメモやちょっとした計算、一時的な集計など、Excelが最適な場面はたくさんあります。

大切なのは、Excel業務を3つに分類して考えることです。

そのままExcelで良い業務

  • 個人的な計算やメモ
  • 一時的なデータ集計
  • 少人数で完結する作業

Excelの使い方を改善すべき業務

  • ファイルの管理ルールを整備する(命名規則、保存場所の統一)
  • 共有ファイルの同時編集を有効にする(Microsoft 365やGoogle スプレッドシートの活用)
  • 複雑すぎるマクロを整理・簡素化する

Excel以外のツールに移行すべき業務

  • 複数人で同じデータを頻繁に更新する業務(→ データベースやクラウドサービス)
  • 定型的な入力・承認のフローがある業務(→ ワークフローツール)
  • データの蓄積と分析が必要な業務(→ 専用の業務システムやBI)
Excel脱却を段階的に進めるイメージ

脱却を進める3つのステップ

ステップ1:Excelで管理している業務を一覧にする

まずは「社内でどんなExcelファイルが使われているか」を把握することから始めます。部門ごとに主要なExcelファイルを洗い出し、それぞれの用途、利用頻度、利用人数を簡単に整理してみてください。

すべてを網羅する必要はありません。「これがないと困る」というファイルに絞るだけでも、現状が見えてきます。

ステップ2:課題の大きい業務を1つ選ぶ

一覧ができたら、先ほどの3分類を使って、Excel以外に移行した方がよさそうな業務を特定します。そしてその中から、課題が大きく、関わる人数が多い業務を1つだけ選びます。

一度にすべてを変えようとすると、コストも負担も大きくなり、計画が止まってしまいがちです。まずは1つに集中して成功体験を作ることが大切です。

ステップ3:代替手段を検討する

選んだ業務に対して、どんなツールや方法が合っているかを検討します。この段階では、いきなり製品を決める必要はありません。まずは「どういう状態になれば課題が解決するか」を明確にすることが重要です。

たとえば、「複数人で同時にデータを更新でき、常に最新の情報が見られる状態」が理想であれば、クラウド型のデータベースやSaaSが選択肢になります。理想の状態が定まれば、ツール選びは自然と絞られてきます。

社内にITに詳しい方がいなければ、外部の専門家に相談するのも有効な手段です。

まとめ

Excel依存から脱却した新しい業務スタイルのイメージ

Excel業務の脱却は、「Excelを全部やめる」ことではありません。

  1. Excelで管理している業務を可視化する
  2. 課題の大きいものを1つ選んで集中する
  3. 理想の状態を明確にしてから代替手段を検討する

この3つのステップを踏むことで、無理なく、着実にExcel依存から脱却していくことができます。


ワイズラボでは、YzNexus(月額定額ITコンサルティング)を通じて、「Excel業務のどこから手をつければいいか分からない」という段階からサポートしています。お気軽にご相談ください。

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